バイクすり抜け問題:法律から見て:追い越し
道路交通法第2条21で「追越し」は「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。」と定義されています。ちなみに前方に出た後、進路を元に戻すかどうかは触れられていませんから、追越しの定義には関係はありません。
キープレフトや車両通行帯を守る限り、車両は走行すべき場所が決まっています。併走することはキープレフトや車両通行帯違反となるためできません。そのため前走の遅い車両に「追いついた」とき、その前に出るため「追い越し」が行われます。これに関連して、いつも話題となる追い抜きについては別に述べます。
次に実際の追い越し方ですが、追い越しの際は本来の走行区域より右側の場所を走行する必要があります。そのため右に進路変更をおこなうことになります。また「できる限り安全な速度と方法」で行うことと道路交通法第28条で定められていますから、ぎりぎりを追い越していくことはこれに反します。また左から追い越していい場合とは道路交通法第28条2項にある右折しようと道路中央に寄っている車両を抜く場合であり、例外です。このように多くのすり抜けが道路交通法第28条に引っ掛かってきます。また追い越し・追い抜き禁止場所も決まっています(30条)。
逆に原付などの制限速度の遅い車両には制限速度のより早い後続車が追い越そうとしたときに端に寄るなどして安全に追い越しさせる義務があります(道路交通法第27条)。この条項があることで実際の教習の際は原付は左端を走れと言われるのではないかとおもわれます。後続車がいなければ車線の真ん中を走っていいはずなのです。また追い越しする車両も原付の寄りが悪いからとぎりぎりを追い越すのは危険なのでやめましょう。
(追越しの方法)
第28条 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
2 車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第25条第2項又は第34条第2項若しくは第4項の規定により道路の中央又は右側端に寄つて通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。
3 車両は、路面電車を追い越そうとするときは、当該車両が追いついた路面電車の左側を通行しなければならない。ただし、軌道が道路の左側端に寄つて設けられているときは、この限りでない。
4 前3項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
(追越しを禁止する場所)
第30条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
1.道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂
2.トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
3.交差点(当該車両が第36条第2項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に30メートル以内の部分。
(他の車両に追いつかれた車両の義務)
第27条 車両(道路運送法第9条第1項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第5条第1項第3号に規定する路線定期運行又は同法第3条第2号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第22条第1項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度か同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第18条第1項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。