バイクすり抜け問題:法律から見て:割り込み

 

道路交通法でいう「割り込み」とは一般に認識されているものとは異なります。走行中の車列間に入り込むのは道路交通法では安全な追い越し方法ではないということで「追い越し」違反となります。信号や渋滞などで止まっている車両・止まろうとしている車両に対してのものに限定されています。

 

さて実際にはどのような違反でしょうか。「割り込み」は道路交通法第32条に記載された違反です。「追い越し」違反との違いはどこでしょうか。野路交通法第28条第4項によると「追い越し」は「できる限り安全な速度と方法で進行」するとなっていますが、信号等のために停止している車両や停止しようとしている車両に対しては「できる限り安全な速度と方法で進行」していると思っていても駄目なのです。ここが「割り込み」違反の真髄です。条文を見てみましょう。

  
道路交通法

第32条「車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。」

 

 

 この条項には「できる限り安全な速度と方法で進行」とか、それに類することには一切触れられていません。自分が安全と思っていても先行車両に追いついた場合は順序良くその車列に続くことが求められています。

 

 このため信号等で停止している車両・停止しようとしている車両の横をすり抜けることは左右どちらからであっても割り込み禁止違反となります。また信号等で停止している車両・停止しようとしている車両はこの条項が存在することにより一般的な「停車中の車両」から区別されています。

 


 また真ん前にいないといけないと「前方に」割り込みにならないという考えもあるようですが、少し横にずれていても普通は自分の車両よりも少しでも前に別の車両が存在していれば、法規を守る限りは並走もできませんから、先に行かせるしかなくなってしまいます。すり抜けされたことで走行の順番が変わってきます。これはやはり前方に割り込んだことになります。また物理的にも最終的にはどこかで正真正銘真ん前に入り込むことになりますし、実際それを目的に行われる行為ですから、ほとんどのすり抜けは割り込みに該当してきます。割り込んでこないままなら通行帯違反の要素の方が強くなるかもしれませんが、やはり最終的には割り込むのが目的ですから、行為が完了する前であっても違反になります。

 

  

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