路肩と車道外側線:路側帯とは

 

 先にも述べていますが、車道外側線の外側は原則として路肩になります。このことを頭の片隅においておいてください。
 
 もともとの道路交通法には路側帯の概念はなく、歩行者は歩道もしくは道路の右側端を歩行するように定められていたということです。車両は車道を走ることになっていますが、歩行者は道路自体の右端(路肩)が歩行すべき場所なので、歩道がない場合でも道路自体の右端を歩くことが可能でした。しかし進行方向が決まってしまうため、反対方向に歩こうとすれば道路を横断し、反対側を右側通行しなければなりません。このままでは歩道のない道路で歩行者は非常に不便です。このため歩道と同じようにどちら向きでも歩けるようにするために路側帯という概念ができました。歩道のない道路における車道外側線を路側帯を示す線として定めることになりました。これにより十分幅のある(1m)路側帯では歩行者の交互通行が可能になりました。また自転車などの軽車両も走行が可能となりました。これも軽車両の安全を考えてのことです。ただし軽車両は歩行者の通行を妨げてはいけないことになっています。
 
 このように路側帯は本来なら路肩として扱われる部分を歩行者と軽車両の安全性と利便性を図るため利用するべく作られた概念です。路側帯以外の路肩は通行してはいけないとは明示されていませんが、通行して良いとも明示されていません。
 この部分の路肩は道路構造令第2条13でいう「側帯」にあたり、「車両の運転者の視線を誘導し、及び側方余裕を確保する機能を分担させるために、車道に接続して設けられる帯状の中央帯又は路肩の部分をいう。」とされていますから、走行を主たる目的とする場所でないことは明らかです。路肩は走行のための空間ではないのです。路側帯は自動車やバイクなどの車両が通行できないのですが、これは路側帯だからということではなく、もともとから路肩にあたる場所なので通行できないだけと考える方が自然に理解できるのではないでしょうか。
 
 同じ車道外側線でも路側帯の部分を示す線であったり、歩道の横で路肩を示す線であったりします。車道外側線の外側部分を「路側帯のときは通行できない」、「路肩の線となった場合は通行できる」と考えている人がおられますが、上記の理由でこれは間違った解釈でしょう。どちらの場合であっても車両が通行すべき場所ではないのです。
 
 
道路交通法
第二条 三の四  路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。
 
第十条  歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。
 歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
 車道を横断するとき。
 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。
 
第十七条  車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
 
第十七条の二  軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。
 前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。
 
 
次のページ
前のページ